悠(6) 「自分を探す」でなく「自分を創る」

 どのくらい前になるだろう、昔「自分探し」という言葉が流行っていた。私は、仕事でも私生活でも、目の前のことを何とかこなすことで精一杯だったから、そんな暇なんかないよと思った。

 「自分探し」をしたいというのは、単に、今の自分の生活・生き方に疑問や不満があるから何とかしたいということなのだろう。「探す」というのが何となく消極的な印象がある。「創る」に変えればいいのにと思った。

 まだ、終身雇用の時代の価値観が支配的だったから、転職にはマイナスイメージが強かった。バブルがはじけ、将来を見通すことが難しくなり、社会の変化は加速度的に速くなっていった。そして、転職することがキャリアアップになる時代になった。

 私は勤めを変えずに求められる仕事に打ち込んだ。楽しいことばかりではなかったけれども、頑張り続けることでそれなりにスキルは高まった。いい仲間とも出会えた。その時の自分を肯定して、鍛え磨いていたように思う。

頑張っていたころ、旅先で撮ったリスの写真  加工済(^^);

 このステージを完走することに意味があると信じて働いた。疑問や不満がないわけではなかったが、100%思いのままになる人生なんかないとも思っていた。

 今、退職して昔と今を比べると、昔以上に自分の選択が生活の質を変えていく、「やりたいことをやることに価値がある時代」になったように思う。だから、私も新しい価値観にアップグレードして、自分の可能性を信じて生きていこう。

 今日の「仕事の教科書」は作家の清川妙さんのお話。徒然草の一節「死は前より来らず、かねてうしろに迫れり」というタイトルだ。清川さんの言葉

 死は突然来るのだから、どう死のうと、喜び上手に、隅から隅までフルに生きたい。

本当にそうだ。

 探している暇なんかないな。思いつくまま、心のままに、次の自分を創っていこう。