佑(4) 腹巻

 台風の接近で大雨が気になる。しかし、気温が下がって夜の寝苦しさからは解放されるかもしれない。

 夏が嫌いな理由の一つは、寝ている間に汗をかいてお腹を冷やしてしまうことだ。子供のころから胃腸が強い方ではなく、夏場は腹痛に苦しんだ。お腹を壊さないように腹巻をして寝た。でも腹巻をするのは好きでなく、いつの間にかしなくなった。お腹を冷やして夜中にトイレに入ることになった時だけ、しておけばよかったと思った。

 60年前の親父たちは腹巻にステテコ姿で夏場は過ごしていた。アニメのバカボンのパパの姿のままだ。正直、かっこいいとは思わなかった。でも、そんな親父のあぐらの上で枝豆とかをもらって食べるのは嫌いではなかった。親父の腹巻から出てくる物としてたばこがあった。私のおやじは黄色いパッケージの「エコー」だった。近所のおじさんは「わかば」だった。それから、お金も出てきた。

 大人になってもお腹を冷やすと駄目だから、自分から腹巻をするようになった。親父のようなステテコでなく、Tシャツと短パン姿に腹巻をする。日本の夏の親父の姿の「伝統」を受け継いでいるんだと変に納得している。

 そういえば、フーテンの寅さんも、かトちゃんも、変なおじさんもみんな腹巻をしていたな。昭和から平成にかけて、腹巻キャラは存在してきた。腹巻がまた流行して、令和の腹巻姿の有名キャラが生まれたら楽しいだろう。

 これでいいのだ!