悠(1) 今、ここにいるということ

令和という時代に日本という国に居るということ

 自分は恵まれているな、ラッキーだなと思っている。なぜなら、高度成長期の日本に生まれたからだ。もちろん、幸福の感じ方は人それぞれだから、同世代であってもそう思わない人もいるだろうが、戦争や飢餓で苦しむ時代に、または国に生まれなかったことは幸せなのではないだろうか。 

明治維新〜敗戦

 19世紀、日本という国は欧米列強の植民地とならなかった。なぜか?

 自分は「文明の生態史観」(梅棹 忠夫 著)に答えを見つけたような気がした。この本を読むと西欧と日本が似ていることが理解できる。ネット上でも概略がわかる。

 YouTubeにもわかりやすい動画がある。例えばこれ。


www.youtube.com

 日本という災害が多い国、さほど資源に恵まれてはいない国が、「一等国」として世界に認められるまでの国となったのは、先人達の努力と犠牲があったからだと思う。私には、10代で志願して海軍に入隊し、成人前に戦死した伯父がいた。海軍上等兵と刻まれてた石の墓標に当時の家族の思いが詰められているように思う。

 第2次世界大戦を知る人は高齢になっている。戦前・戦中の体験を直接聞く機会も無くなってくる。戦争の悲惨さだけでなく、なぜ戦争をしなければならなかったのかを確認することが大切だ。学校で昭和についてどのように学んできたのだろうか。今こそ学びなおすことが必要なのではないか。

戦後復興〜現在

 戦後、平和主義の憲法下で軍事費は抑えられてきた。アメリカの核の傘の下で経済発展を遂げた日本。しかし、1980年代にJapan as No.1と称賛された日本経済は、1990年代以降にはバブル崩壊により低迷する。他の先進国のようには所得は伸びず、中流階級だと感じていた国民意識も変化した。就職できても所得は少なく増えない現状は、戦後に創られ機能してきた経済モデル・システムが老朽化してしまったことを意味しているのだろう。国際社会での日本の武器であった経済力は相対的に低下している。

 明治元年(1868)から令和4年(2022)までのちょうど真ん中あたりが第2次世界対戦にあたる。戦争を何回も繰り返してきた戦前と、平和に暮らせていることが当たり前になった戦後が、ほぼ同じ時間の長さだと思うと驚きがある。

 私はこの平和な時代に成人となり、就職し、定年退職となるまで勤めきった。社会を創り動かす人間ではないが、支えるくらいの役目は果たしていたと思う。

 今、ウクライナで起きていることが日本でも起きるかもしれない。もっと生活が苦しくなるかもしれない。ネガティブな感情を引き起こす情報に触れると、私はどれだけ幸せな時代を過ごしてきたのかと思うのだ。

今という瞬間の堆積が過去

 時間は連続し繋がっている。今という一瞬はすぐ過去に変わり、この一瞬一瞬の堆積、まとまりが過去の記憶になっていく。

 古い記憶ほど、楽しい良いことが多いのは私だけだろうか。辛かったことでも、今の自分にプラスになっていると考えられることも多い。そう思えるのは、その日、その時、その瞬間に悔いがないよう生きていたということだろう。自分で決めたこと、選んだこと、行動したことに納得できれば、その時の状況が悪くても、懐かしい思い出として振り返ることができる。

未来は今から始まるという考え方

 未来に漠然とした不安を感じるのは、予測ができないからだ。新型コロナウイルス感染症がいまだに治らないことがその1例だ。ウイルスが変異したり、対策を実行しても限定的な効果しかなかったりと、見通しが立たない。

 逆に、望む未来を作るには自ら行動することが大切になる。スポーツで素晴らしい成績を納める人たちは、必ずそれに向けての並々ならぬ努力をしている。特に、個人の将来の姿、夢を実現するには、自ら決断し積極的に行動することが大切だ。

 どう行動するのか何も選ばない、決めないで今を過ごしてしまうと、悔いが残る過去を作るだけでなく、自分が望むの未来に近づくことはできない。夢が大きいほどぐずぐずしてはいられない。時間は止まってくれない。未来はすぐにやってくる。

 1秒先は未来だ。遠い未来だと思っていても、今の連続の先に必ずありすぐにやってくる。そして、未来の先に終わりの時、死が必ずある。生きる時間は限られているのだから、今すぐに行動しよう。「未来とは1秒後」とアイドルも歌っている。

悠々と

 自分の未来について、これからできることは、質的にも量的にも限りがある。人間の可能性は年齢に反比例すると思うが、ゼロにはならない。ならば悠々とマイペースでいい、一歩ずつ進んでいこうと思う。無理して急ぐと息がきれて、行けるところまでたどり着けないように思うので。

 社会の未来は、若い人達に決める権利があると思う。ならば、サポーターという立場で未来を見ていこう。年の功があるかもしれない。老害にならないよう心しよう。