誘(1) 春の日の嫌われ者

 昼食後、用事があり近所に出かけた。用事を済ませ、出たついでにと散歩をした。公園のツツジが咲き始め、藤の蕾もだいぶ膨らんでいる。春真っ盛りだ。が、5分もしないうちに暑さに参ってしまった。最近ウォーキングをさぼっていて体重も微増しているからちょっと歩こうと思ったが、水分不足で熱中症になってはまずいという理由を見つけたので、すぐ帰宅。

 午後、不要書類の分別作業をした。子供の頃から片付けは苦手である。「まだ必要かも」と「収集癖」がいけない。側から見れば大した事ではないだろうが、よし、気合を入れて頑張るぞ。窓から春風が吹き込んでいるものの、ちょっと汗ばんでくる。特保マークの付いたカロリー0のコーラを時折飲みながら作業していたら、あっという間に6時近くになった。だめだ、疲れた。区切りをつけて、名探偵坊やのアニメでも見よう。

 嫌われ者は、夜やってきた。

 風呂を済ませ部屋に戻ると「ブーン」と羽音。照明のスイッチを入れ羽音の主を目で追うと天井に留まった。袋を用意して無事確保。奥さんに知られる前に捕まえられたのはお手柄だ。

 飛んでいたのはこいつ!

 カメムシの成虫だとすぐわかったので、臭いを出さないように注意して確保。

 洗濯物についていたのか、灯りに誘われて窓の隙間から侵入したのかわからないけれども、歓迎されない客だ。体長約14mm、ちょっと暗めの黄緑色で光沢がある特徴から、「ツヤアオカメムシ」であろう。

 ググってみるとこの色合いのカメムシは何種類かいるようで、特にひどい名前がついているのが「アオクサカメムシ(青臭亀虫)」。臭いから名前にクサが付けられているけど、カメムシはどれもみんな臭いだろうに。

 カメムシはたいていの人に嫌われているだろう。臭いだけでなく、害虫としても嫌われている。人間とは利害が対立しているが、昆虫としては草食ベジタリアン。臭いのは身を守るための戦略で「臭いのは正当防衛ですが何か?」と思っているに違いない。

 カメムシだけでなく、チョウやツバメを今日は見た。春を味わうなら今なのだろう。