勇(1) 毎日読んでいます

 誰もが思い悩むことがある。落ち込むことがある。そんな時に元気や勇気ややる気をくれる言葉がある。ことわざや故事成語などもそうだが、誰かが言った言葉にそんな力が込められていることがある。

 その人の生き様や人柄が感じられる言葉が好きだ。自分と似ているとホッとしたり、逆にハッと気付かされたりする。Web上で検索するとたくさん見つかるが、その人物がいつどんな時に言ったのかを知ることでさらに心に響く。

 前から気になっていた本の第2弾が刊行されたので、第1弾と合わせて購入し、毎日1話ずつ読んでいる。1日1ページとすぐ読めることと、大企業の会長とか詳しく知らない人物も登場するので興味をもって読んでいる。

 仕事の教科書の4月29日は落語家の桂歌丸さんで「褒める人間は敵と思え」だった。古今亭今輔師匠から言われた言葉だそうだ。私もそうだが、子供の自尊心を高めるために褒めて伸ばす親が多いように思う。その時代の若者の気質の違いなのだろうかか。大人や社会の価値観の違いなのだろうか。ケースバイケース、その人その人で違うといえばそれまでだが、褒めることがいいと思ってきた私には新鮮だった。

 最後の段落に「芸は人なり」という言葉が出てくる。薄情な人間には薄情な芸、嫌らしい人間には嫌らしい芸しかできないと。また、これは噺家だけでなくビジネスマンも同じ、「品物を売るんじゃなくて自分を売れ」と。芸を極めた自分に厳しい名人の考え方、生き方がたった1ページの話から感じられる。

 本を買ってから、人の生き方に思いを馳せる時間を毎日もつ習慣がついてきた。